日常に恋する日常

地方で暮らす平均的な人

「これからもずっと、このままで」はありえないって話

すごく若い頃は、今以上に周りの人間関係によって自分の日常と世界が成立していた。

 

高校生の時は、苦楽を共にした部活の部員といつも一緒。

大学生の時は、同じクラスやゼミの友達と一緒。

社会人になってからも、学生時代の友達との付き合いはそれなりに続いていた。週末に時間を合わせて遊びや旅行に行ったり、飲みに出掛けたり。

 

大学〜社会人にかけて続けていたダンスでは、自分の日常とはまるで違うフィールドに暮らすダンス仲間やクラブ友達ができ、週末はこちらで知り合えた友人とも遊んでいた。普通の就活を経て普通の会社員になることしか考えていなかった私にとって、社会人になってからの夜遊びは特に、様々な年齢や環境の人と話すことで、世の中にはこんなに色んな仕事と働き方があるんだと、目から鱗の発見が多かった。とても刺激的だった。

 

幸い、20代全てを捧げた会社でも人間関係に恵まれ、気の合う上司や先輩と週末飲みに出掛けたり、趣味を兼ねてカメラを携えつつ観光したりした。

 

これだけ読むと、私の人生、全体的に良い人にお世話になりながら、とっても良い日常を送ってきたという感想を持たれるかと思う。

 

確かにそれは間違いない。けど、若かった私には分からず、予想もできなかった当たり前の人生の教訓がある。

それは、

 

 

「これからもずっと、このままで」はありえないという事。

 

 

20代後半になると、結婚する友人が出てきた。

もちろんもう親になっている友人もいる。

となると、彼女ら・彼らとは、まだ独身であった私の好きなようには遊べないし、合う優先順位がどんどん下がっていく。私は典型的な20代女性が主に休日にしたいであろうこと「買い物、飲み、夜遊び、旅行、仕事で疲れてりゃひたすら睡眠」をまだまだ満喫したかったので、時間の自由がきく友人同士で同じような休日を過ごしていた。友人がもし結婚すれば喜んで結婚式に行き、子供がいないうちは独身時代の感覚で引き続き遊びに誘った。夫婦2人家族であれば、独身の友人が既婚者になっただけで、会い方は何も変わらない。

既婚者の友人がめでたく出産した場合は、徐々に状況が変わっていく。お祝いがてら赤ちゃんと友人の顔を見にいくけれど、次に訪ねた時は子供がもう歩いていたり、下手すりゃ喋っていたりと、あっという間に日々が過ぎてしまう。連絡を取り合う頻度もぐっと減る。私が20代前半の時は、まだまだガラケー全盛期。こんな状態で結局メールアドレスなるものが分からなくなってしまった友人はたくさんいる。LINEだって、相手の電話番号が変わっていたら、もう連絡を取ることすら難しい。

 

まだ子供が生まれないうちに状況が変わってしまうこともある。

 

親友が結婚した。付き合っていた時から、旦那さんとなった人とも仲が良く、私自身の彼氏とともに4人でとても仲が良かった。全員独身だった時から、この関係は永遠に続いていくんだろう、何て居心地のいい素敵な関係なんだろうと思っていた。けど、その関係は、親友の離婚により呆気なく終わってしまった。親友はもちろん今でも親友のままだが、今ではその元・旦那さんと会う機会はほとんど無くなってしまった。

 

友人自身や配偶者の転勤で遠くに行ってしまったり、心機一転実家へUターンしたり。みんなの状況はどんどん変化する。

音楽に熱中して一時期有名どころになっていた仲間も、パタリと見なくなり、数年ぶりに偶然遭ったらいつの間にか2児のお父さんになっていたってこともあった。

私があらゆる場面で願っていた「ずっとこのままが続いたらいいな」は一度も実現していないし、絶対に実現しないことも分かった。

なぜなら、人は生きている限り日々変化する。置かれている環境も、自身も。

今日の自分は昨日の自分とは違うし、未来はもっと違う。

変わりない日常だと思って過ごしていても、自分自身は確実に日々少しずつ変化している。

ずっと続く人間関係はない。でも、これは決してネガティブなことじゃない。年齢を重ねるにつれ、ゆるく離れたり、また近づいたり。お別れをしたり、再会したり。

 

「ずっとこのままで」は生きている限りありえない。成長している証でもあれば、何かと決別してきた結果でもある。

 

自分が好意を寄せていた相手がだんだんと離れていくこともあったけど、相手も変わっていくもの。いつまでも自分の側にいて、なんて、結婚でもしない限り他人には約束させられない。それに対して文句を言うのも怒りの感情を抱くのも自分勝手なんだと、大人になってからようやく気付く。

 

それを寂しいと思っていた頃もあったけど、別に寂しいことじゃないのかも、と気づいた私。これこそ、「これからもずっと、このままで」はありえない、という法則が腑に落ちた瞬間だった。

 

人間は変わっていくもの。

 

有休を順調にまるごと消化し退職した瞬間に2kg体重が増えていることに気が付いたけれど、自分の怠慢による身体の変化すらこの法則に当てはめてしまっていいんだよ、という悪魔の囁きと葛藤している自分。そんな自分も、体重が増えていることに気が付いていなかった昨日までの自分とは違うんだよなぁ。あれ、そんなことを言いたいんじゃなかったっけ・・・