日常に恋する日常

地方で暮らす平均的な人

女性の危機感とは何ぞや

オンラインゲーム関連の悲しいニュースが連日流れています。

 

ニュースサイトのコメントには、「この時代、SNSではイケメンに成りすましている男が絶対いるから気を付けないと」とか「こんな時代だから、男に対して危機感を持つよう教育しないと」や、「悪い男への免疫がなかったんだろう」等、もっと異性について危機感を持てという意見がたくさん書かれていました。

 

私自身、最初に思ったのは「SNS上で知り合った見たこともない異性のもとへ、いきなり会いにはいかないな」ということ。でも、19歳の女の子の危機感について、いい年した大人が簡単に語ることに関してはちょっと気になったので、自分の同じような年齢の頃を思い出してみました。

 

ここからは私の話で、彼女とは一切関係ないし、重ね合わせる意図も、ご両親を批判する意図も全くありませんので、その辺よろしくお願いします。

 

私は一人っ子です。親に溺愛されて育ったわけではありませんが、高校・大学には進学させてもらえ、必要なものは買い与えてもらえました。反抗期は相当ぶつかったものの、成人するまでの成長に十分な環境があり、教育を受けさせてもらえました。

そんな私の親が、異性やそれこそ性教育まで家庭で行っていたかというと、何もしていません。ゼロです。

小学校の時に、「精子卵子が出会ってあなたたちが生まれた」という、お決まりの肝心な部分がぼんやりとした授業を受けました。私は、「赤ちゃんってこういう風にできるんだ!」という衝撃的な知識に驚き興奮し、帰宅するなり母親に「ねえ、卵子精子ってそもそもどうやって出会うの?」と聞きました。当然の疑問です。母親の答えは「ね~。お空を泳いで出会うのかな~。」みたいな回答だったと思います。後にも先にも、男女がどういう風に惹かれ合い、どういう行為をしたら子供ができるかを、親から直接教えてもらうことはありませんでした。

「あかちゃんはお尻の穴から出てくるの?」という疑問もぶつけましたが、「違うよ、違うよ!」と驚いた顔で否定されました。教えてくれなきゃ分かるはずがない。自分にまさか排泄以外の穴があるなんて。(笑)

 

その1年後、買ってもらったぶっとい子供向けの図鑑に、生殖についてのページがあり、そこに男女の下半身が重なり合ったイラストを見つけました。ここで初めて、「そうか、こういうことなのか」と理解しました。あの図鑑が無ければ、私は生殖についてピンとこないまま高校生になったような気がします。

その後生理が始まりましたが、手当について教わっただけで、生理がどんなに大事な物かを教えてもらったこともありませんでした。(結果無頓着に育ったのか、21歳で卵巣嚢腫により片方の卵巣を摘出しました)あと、穴のこともついに教えてもらえなかった。(笑)

 

高校生の時に「彼氏ができた」と母に報告したら、「彼氏じゃないでしょ。ボーイフレンドでしょ。」と、(ちょっと意味が分からなかったけど)恋人とは認めていませんでした。

両親と好きな人の事や性について話すこともなく高校生になった為、逆に好奇心が旺盛になりました。図鑑の行為は早々に済ませてしまい、勉強・部活はしっかりやる優等生を演じる裏で、帰りが遅くなったり、悪い友達とつるむのがカッコいいと思うようになったり、それこそ電車でナンパしてきた人と簡単に電話番号を交換したり。

「異性の人には気を付けなさい、こういうことがあるから」という旨の注意は一切受けたこともない。受けたこともないから、親が話題にするにもタブーとしてたことをやっちゃってる感が余計に私の変な行動をエスカレートさせた遠因かもしれません。

保健体育の授業もほとんど記憶にないし、異性に興味を持つこととは何ぞやと先生に教わったこともない。恐るべし進学校

 

大学生になり一人暮らしをするようになると、どの子もそうだと思うけど、親の目を離れ、ちょっと自立したような浮かれた気分になります。まだガラケーの時代だったのでSNSはそこまで普及しておらず、行き当たりばったりな行動をすることでちょっとイキった(イキったって、若い子の間では死語ですか?笑)感じになっていました。友人と深夜まで飲んで終電を逃し、タクシー代を浮かしたいがためにナンパスポットをうろつき、声をかけてきた人に家の近くまで送ってもらったり、今では信じられないような行動をしていたのですが、逆に言うと「今だからこそ信じられないと思う」のです。その時は、大人に近づいている、女の子から女性になっていくという過程に酔っていた。女の子では出来ない体験をしたいと思っていた。これはどの女の子でも経験する気持ちだと思うし、男の子でもそうでしょう。

 

(一般的に)高校を卒業し、メイクや服装に一層興味が出てきて、キレイになれば周りが女性として見てくれる。タイプの人を見たら本能レベルでときめく。恋愛経験は少なくとも、素敵な恋愛をしたいと思う年頃なのに、異性をまず疑ってかかるという心と頭で逆の行動をするのはとっても難しいと思います。異性と知り合いたいという心理は自然なものだから。

全ての家庭がうちと同じように恋愛や性についてタブーとしているとは思いませんが、きっとそんな家庭が一定数存在するはずです。そういったタイプの家庭の場合、高校の保健体育だけでは、「異性や性について興味を持つのは自然なこと、けど、時には危険なこともある」という恋愛エキスパート並みの悟りを開くのは若い子にとっては不可能です。

いつか家族を持つ時が来るよ~、それまでの道のりは人生で頑張って学べよ!いい恋愛しろよ!いい人に出会って幸せになれよ!とボンヤリしたエールだけをもらって、大人の階段登る頃にちょっと開放的な空間に行ってしまったら・・・。何が危険なのかは実践を以って知る、ということになってしまいかねませんよね。自分がそうだっただけに・・・

 

いつの時代も、何が起きても「女性が危機感を持つ」ことの大切さを叫ぶ人が出てくるけど、「じゃあ、危機感って何?」と思ってしまう訳です。どういう行動をすべきなのか、私たち大人が教えるとしたら、どう教えたらいいんだろうか。「知らない人にはついていかない、知らない人には会わない」を徹底しておけば果たして安全なのだろうか。教えられないまま体当たりで生きてきてしまった私は、考え込む日々が続いています。