たった今、観ました。
ネタバレせずに感想を書くのは不可能な作品なので、どんどんバラして書きます。
すごく良かったです。
何って、全てがリアルなんですよね。
この映画と全く同じストーリーを生きてきた人がたくさんいると思うんです。
第1章で、切ない「両想い」。今の30代半ばから上の世代は、携帯もなく、待ち合わせは前日の口約束だけというのが当たり前。当日の遅刻なんて、タイミングを逃せば知らせる術もない。ただただ好きという感情だけで動けるのが中学時代。
私も好きな人のこと考えるだけで毎日頑張れたし、話せたら1日ハイテンションだったなぁ、、、そんな時もあったな、、、_:(´ཀ`」 ∠):
第2章では、切ない「片想い」。貴樹は相変わらず明里を想い、花苗はどんなに近づこうとしても届かない片想いを悟る。花苗の辛さはキツイですね。どこか自分には気持ちがないことをずっと悟りながらも、貴樹が優しすぎるもんだから、期待してしまう。彼女の偉いところは、それでも告白しようと決心したところ。うまくいく確信なんかなくても、半年ぶりに波に立てたその日に、気持ちを伝えようと決意する。
告白前に、彼は自分に気持ちがないと悟るのは残酷ですが、こうやって気持ちを伝えられない恋があるんだと胸が苦しくなる経験も誰もがしているはず。それに、中学生の頃とは違って大人になっていくからこそ、切なくて涙が出たり、好きだけではない繊細な感情に気がついてしまう。この辺の描写も上手いなぁと思いました。
第3章は、「難なく想い出にする女と、ようやく過去から這い出る男」笑。
この話によると、明里は、婚約者のところに向かう前の荷物整理で、中学時代に渡せなかった貴樹への手紙を見つけ、彼のことを思い出したようです。下手すりゃ10年ぶりくらいに彼のことを記憶から呼び起こしたんじゃないかと。笑
その間、貴樹は「何かを求めて」仕事に突っ走り(何か、と表現されていますが100パーセント明里のことでしょう。彼自身も大人になり、子供の頃で記憶の止まっている女の子をずーっと好きだったとハッキリ認めるのは、どこか抵抗があったはず。社会人になってからできた彼女もいたし。)、3年も付き合った別の彼女も、自分自身のどこを向いてるか分からない気持ちや態度のせいで大事にできず。自分の固くなった心に耐えられず会社も辞めてしまいました。とっても優しくて繊細な彼の本質は子供の頃から何も変わってないのですが、変わらないまま生きるには、絶対に隣に明里が必要だったんでしょうね…。
何もかもリセットし、リスタート地点に立った彼は、桜が舞う季節にとうとう明里を見つけますが、振り返った時には彼女はいなかった。中学・高校時代の彼なら、きっと悲壮な顔で振り返っていたでしょうが、彼女が自分に気がつかず姿を消してしまったのを確認すると、微笑んで前を向いて歩き出します。ここが、この作品の唯一の救いなのだと、ディスってる人たちには是非わかって欲しい、、、。
悲惨なラストと酷評されていたりもしますが、本当に悲惨なのは、例えば
「それでも僕はまだ君をどこかで追い続けている」
なんて台詞とともに終わっちゃうようなラストだと思います。
貴樹にとって、ここまで来るには、不器用だけど、一度自分を終わらせなければならなかったんでしょうね。
要領よくポジティブに人生進めていける人には少し理解し難いかも。
貴樹と同じような、優しくて、不器用で、自分にも相手にも真面目に接する人の人生を描いているようで、私は心から応援したくなるラストでした!
結ばれる=ハッピーエンドではない、けど頑張る人への救いもある。大人向けの少し懐かしさを感じる良作でした。